診療案内

新生児内科

赤ちゃんの健康と成長・発達を見守り、支援します

 赤ちゃんを専門的に診療する新生児医療において、病院ではとりわけ重症の赤ちゃんを治療する新生児特定集中治療室(NICU)という施設があります。当クリニックの新生児内科としての診療では、元気に生まれた赤ちゃんの病気や育児、予防接種に関すること、その他いろいろな症状に対するご相談、またNICUを退院した赤ちゃんの診療など幅広く受け入れています。

 生まれて早い時期の赤ちゃんでも、熱が出たり、鼻水・鼻づまり・咳が出たりすることがありますし、その他にも湿疹やあせもが出たり、嘔吐、またミルクや母乳の飲み具合が悪くなったりすることがあります。

 生まれて数か月の赤ちゃんは日々成長や発達に変化がみられ、その後の乳幼児・小児と違う特徴がみられることもあり、診察・治療には赤ちゃんの医療に関する専門知識、経験、技術を要することがあります。お一人目であっても、あるいはごきょうだいがおられて育児に慣れていらっしゃる保護者の方にとっても、一人ひとり違った成長や発達をしていきますので、子育て中に悩まれることも多いと思います。

 今までにも赤ちゃんに対するいろいろなご質問を受ける機会がありましたので、その中から多く聞かれたことにお答えした内容を掲載しました。ご参考にしていただきたいと思います。また、何か疑問に思われることはどうぞお気軽にご相談ください。

Q & A

各質問をクリックすると回答が表示・非表示されます。

生まれて1か月経ちますが、皮膚が黄色く見えます。受診した方がよいでしょうか。

通常は生後1~2週間以内で黄疸(おうだん:皮膚が黄色くみえること)は消退しますが、母乳を飲んでいる赤ちゃんは生後2週を過ぎても症状が続くことがあります。母乳に含まれているホルモンなどが原因で母乳性黄疸といいます。この場合、通常治療の必要はなく母乳を続けてもかまいません。しかし母乳栄養であっても母乳性黄疸とは限りませんので母乳、ミルクを問わず黄疸が続く場合は受診しましょう。

※こんな時は注意!

  • 皮膚の色がくすんだ黄色
  • 便の色が白色、淡黄色、灰白色
  • 尿が濃い黄色
  • 黄疸が強かったり、一度消退しかけていたが再度目立つようになった
  • 哺乳量が少ない、哺乳不足
  • 体重増加不良、元気がない

・・などの時は肝臓、胆道系の疾患、ホルモンの異常、先天性代謝異常などの疾患が原因の時がありますので気になる場合は一度受診しましょう。
※便の色は母子手帳に添付されているカラーカードがわかりやすいので利用されるとよいでしょう。

以前新聞記事に掲載された回答もご参照ください


ミルクの後よく吐きます。大丈夫でしょうか?
赤ちゃんは胃の内容物の逆流を防ぐ筋肉が未発達のため、母乳やミルク、離乳食などをよく吐きます。少量の母乳やミルクがタラーッと口から流れ出す“いつ乳(少量の吐き戻し)”は、生後1〜2か月まではよくみられ経過観察でよいですし、ケポッと吐く場合でも機嫌がよくまた飲みたがったり、体重がきちんと増えていれば様子をみても大丈夫であることが多いです(生理的嘔吐)。しかし繰り返し何度も吐くあるいは嘔吐の勢いが強くなったり、吐く物が赤色・黒色・緑色であったりぐったりして顔色が悪い場合は、何か病気の可能性もありますのですぐに受診しましょう。
※受診される時には、嘔吐物を写真に撮ったり嘔吐物のついたタオルなどを持って受診するとよいでしょう。

排便が何日ないと便秘と考えたらよいでしょうか?
赤ちゃんの便が出ない時、どうしたらよいでしょうか?
通常生まれて生後1〜2か月頃までは1日に数回排便がみられることが多いですが、生後1〜2か月をすぎると便の回数が減ってきます。便が2~3日出ないと便秘ではないかと心配になりますが、やわらかい便が出て体重が順調に増えているなら問題ありません。数日でない時は肛門を綿棒で刺激してあげるのもよいでしょう。
 便がコロコロしていて、便をする時いきんで苦しそうにしたり、肛門が切れる、機嫌が悪い、飲みが悪い時は受診をしましょう。また排便回数よりも腹部膨満(お腹が張る)、硬便、哺乳不良などの症状が重要であり、症状がみられる場合には治療を考慮します。排便状態が気になるようでしたら回数や便の性状を記録したり、写真にとったりして持参していただけると状態がわかりやすいです。

よくうなったりいきんだりします。大丈夫でしょうか?

排便がうまくできないときに強い「いきみ」や「うなり」がみられることがあります。肛門の綿棒刺激で排便を促してみてもよいです。排便困難なときは上記の「赤ちゃんの便が出ない時」を参考にしてみてください。


鼻がぐずぐずいったり喉がゴロゴロいったりしますが大丈夫でしょうか?
赤ちゃんは鼻腔(びくう)がせまくて鼻がつまりやすいため、鼻づまりがよくみられます。哺乳が良好なら通常問題はありませんが、鼻づまりが強いと哺乳不良、不機嫌、呼吸困難を呈することがありますので、そのような場合は受診してください。
 赤ちゃんはものを飲み込むときに一旦のどにためてから飲み込みます。このためのどに残った母乳やミルクがゴロゴロ、ゼーゼーと音を立てることがありますが、呼吸状態や哺乳がよければ様子をみてください。徐々に飲み込みが上手になってくるとこのような音は目立たなくなるでしょう。音が大きかったり咳き込みが強くなったりするようであれば受診してみてください。

ゲップがでにくいのですが、大丈夫でしょうか?

赤ちゃんは胃の形が立て気味だったり少し捻れているためげっぷがでにくいことがあります。立て抱きにしてゆっくりと背中を叩いてげっぷを出すようにしてみてください。出にくい場合は無理に出す必要はありません。この場合はおならが多くなりがちです。しばらく経過をみてよいですが、お腹が張ったり哺乳量が少なくなったりする場合は受診してください。


便に血が混じっていました。受診したほうがよいでしょうか?

赤ちゃんの便に点状、線状の少量の血液が付着する血便をみることがあります。このような便は母乳栄養児に多く、肛門近くの腸の免疫組織であるリンパ濾胞(ろほう)の発達によるもので、母乳性血便と呼ばれることもあります。全身状態や体重増加が良好で一過性であれば経過観察でよいです。

※注意を要する症状

 便に付着、混入する血液量が増えたり嘔吐や哺乳不良などを伴う場合は、細菌性腸炎、消化管ポリープ、消化管出血性疾患などを考える必要がありますので受診してください。


便の色が緑色です。異常ないでしょうか?

赤ちゃんの排便は、1日5〜10回程度で便色は黄色から緑色です。母乳栄養のみの赤ちゃんの便色はミルクを飲んでいる赤ちゃんに比較して黄色みがやや強い傾向があります。また母乳、ミルクを飲む赤ちゃんどちらでも緑色の便がみられることがあります。


おしっこがピンク色?大丈夫でしょうか?
尿に含まれる尿酸塩というものが出てくるときにおむつにピンク色の尿としてつくことがあります。おむつ全体ではなく一部についていることが多いです。
生後6ヶ月頃までの赤ちゃんは、尿酸が尿の中に多量に排泄されやすいので心配はいりません。ただし濃い赤色であったり、赤ちゃんが尿をするときに不機嫌になったりするときには血液が混ざっていることがありますので、このようなときには受診しましょう。

おむつを替える時、股が開きにくいように感じますが大丈夫でしょうか?
生後1か月頃に顔の向き癖のある場合、顔の向きと反対側の股が開きにくいことがありますが、顔の向き癖の有無にかかわらず左右差が強い場合は股関節脱臼の可能性を考える必要があります。
 小児整形外科学会から保護者向けのわかりやすいパンフレットが公開されています。また早期発見のためのわかりやすい動画も公開されていますので、参考にしてください

赤ちゃんの舌が白いように思います。病気でしょうか?
赤ちゃんの舌が白っぽくなるのは時々みられます。ほとんどの場合は母乳やミルクの白いカスが赤ちゃんの舌に残ってしまうためですが、時に病気が原因でみられることもあります。赤ちゃんの舌が白いときは、まず水で湿らせた清潔なガーゼで拭いてみてきれいに拭き取ることができれば、母乳やミルクのカスが原因と考えてよいですが、拭き取ることが難しい場合は、カンジダ菌というカビが原因で起こっている可能性があります(鵞口瘡(がこうそう)といいます)。哺乳状態や全身状態が良好であれば経過をみて自然に改善するのを待ちますが、白苔が多かったり哺乳量が低下している場合にはカンジダに対するお薬を使うことがありますので、一度受診してみてください。

でべそです。治療法はありますか?
いわゆる「でべそ」は医学用語では臍ヘルニアといいます。へその緒を切った後は縮んで皮膚、筋肉、腹膜が一つにくっついてくぼんだへその形ができあがりますが、筋肉や周囲の膜(筋膜)がくっつかないで腸が皮膚をかぶったまま飛び出してしまってでべそになります。生後1か月頃にみられるようになることが多く、その後2〜3か月頃まで大きくなります。治療しないで経過観察しても 2 歳までに 90%程度は自然に改善しますが、治っても十分でなかったり特に大きなでべその場合はへその皮が余ってしまうことがあります。
 以前は治療しないで自然治癒を待っていましたが、最近は綿球を用いて圧迫する治療が行われることもあります。方法はいろいろ試みられていますが、当クリニックではへその上に綿球をおいて押し込み、防水テープで10日間程度圧迫します。綿球を除去して数日経ってから再度圧迫し、押さえなくても飛び出さなくなるまで続ける方法を行っています。
 この方法のよい点として、自然治癒を待つより短期間で改善すること、見た目がきれいに治ることなどがあげられます。ただ時に固定テープによるかぶれやへその炎症を起こしてしまうことがありますので、その点は注意する必要があります。かぶれが気になる場合は綿球を除去して受診していただくようお願いしています。圧迫療法は生後1~2か月頃までに開始する方が治りやすいですので、気になりだしたら早いうちに一度受診してみてください。

おへそが取れた後もずっと出血しています。受診したほうがいいですか?
へその緒がとれたあとへその緒のなごりが残る臍肉芽腫と思います。おへその中心部が赤く盛り上がって出血したり、じくじくしていつまでも乾かないことがあります。かたまりが大きい場合は、糸でしばってとります。小さいときは硝酸銀という液で処置して治療することもあります。
 このような方法でも臍肉芽腫が取り切れないこともありますし、腸管由来の臍ポリープ、膀胱とへそをつなぐ管のなごりである尿膜管遺残というものであることもあります。治りが悪い時は再度受診してみてください。

赤ちゃんの左右の陰嚢の大きさが違います。大丈夫でしょうか?
陰嚢水腫・停留精巣などの可能性が考えられます。
  陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)は陰嚢(いんのう)に水がたまり膨張した状態で、新生児や乳児に時々みられます。お子さんの場合は1歳くらいまでに消失することが多いですが、3歳頃になっても消失しない場合や、大きくなったり小さくなったりを繰り返すことがあります。痛みはなく多くは自然に治癒します。
 停留精巣(停留睾丸)は、精巣が鼠径部や腹腔内にあって陰嚢内に降りてこない状態をいいます。また精巣が空であってもお風呂に入っている時、リラックスして座っている時などに精巣が陰嚢内に触れるような場合移動性精巣と呼びます。停留精巣や移動性精巣の場合には手術が必要であることもありますので、早めに相談してください。

赤ちゃんのスキンケアについて教えてください。

赤ちゃんは生後まもなくから2~3か月頃までは、ホルモンの影響で皮膚から皮脂がたくさん出てきます。放っておくと皮膚のトラブルのもとになりますので、石鹸やシャンプーを使い手でやさしく洗い流して保湿をしましょう。ひどくなる場合は一度受診してみてください。

あせも

 あせもは皮膚が重なり合い、汗がたまりやすい場所(額、首回り、わきの下、背中、おしり、肘や膝の裏など)に多くできます。汗はこまめに拭き取り、皮膚を清潔に保ちましょう。たくさん汗をかいたときはシャワーなどぬるま湯で洗い流すことも大切です。皮膚が乾燥しないように保湿もしましょう。ひどくなったり引っ掻く場合は、一度受診してみてください。

おぶせ(頭のかさぶた)

脂が髪の毛にこびりついて黄色いかさぶたのようになることがあります。少ない時はお風呂でシャンプーするだけで治りますが、多い時はベビーオイルなどをぬってふやかしてからお風呂で洗い流してください。ひどくなる場合は受診しましょう。

おむつかぶれ

おむつでむれたり皮膚に残った尿や便の成分が刺激になってかぶれます。長い間おむつをぬれたままにしているとなりやすいので気をつけましょう。
※洗う・拭く:おしりがよごれたら拭き取った後、お湯で洗い流してあげるとよいでしょう。お風呂では石鹸を使ってやさしく洗いましょう。
※乾かす・塗る:よく乾かしたあと保湿をしましょう。
ひどくなる場合はカンジダ皮膚炎といって、カビが原因となっている場合があります。スキンケアで治りにくい場合は一度受診してみてください。

カンジダ皮膚炎

 皮膚全体が赤くかぶれるなどおむつかぶれとよく似ています。カンジダ皮膚炎はカンジダ菌というカビによる感染症です。カビに効く軟膏を使用します。おむつかぶれと同様に清潔と乾燥が大切です。

イチゴ状血管腫(赤あざ)

生後間もない赤ちゃんの皮膚の表面や内部にできる「赤あざ」の一種で見た目が赤く、イチゴのような外観から「イチゴ状血管腫」とも呼ばれます。経過観察でよい場合やレーザー治療、飲み薬による治療が必要な場合もありますので一度ご相談ください。


熱性けいれんってどんな病気?起こしたらどうしたらいいでしょうか?
熱性けいれんは高熱によって誘発されるけいれんです。主に生後6か月~5歳の小児に多く、急に熱があがるときに起こしやすいです。約10人に1人のお子さんが熱性けいれんを経験します。多くは2〜3分以内にとまりますが、中には10分以上続くこともあり、このような場合は急いで医療機関への受診を考えましょう。
 熱性けいれんは、良性の病気でほとんどの場合治療も必要とせず、脳にダメージも残りません。多くのお子さんは1回しか起こしませんが、約30%のお子さんは2回目を、約10%のお子さんは3回以上起こします。

熱性けいれんの注意点

 けいれんを起こしたあとで主治医に状態を詳しく伝えられるよう、慌てずけいれんの様子を観察しましょう。可能なら動画記録をしていただけると診療に役立ちます。

※けいれんを起こしたら

  1. 服などをゆるめ、ピンなど危ないものは取り外してください。
    吐きそうなしぐさをしたら体ごと横にして吐いた物がのどに詰まらないようにします。
  2. 口の中に指や箸を入れないようにしましょう(舌を噛むことはありません)。大声で呼んだり、体をゆすったり、押さえつけたりしないであわてず様子を観察します。
  3. 以下の点をよく観察してください。
    • けいれんの時間、意識状態(呼びかけに対する反応)
    • 眼の位置と動き
    • 顔、四肢の動き:左右対称か?  などを観察します。

※5分以内でおさまる事が多いですが、5分以上続く場合は救急車を呼びましょう。5分以内でおさまった時は落ち着いてから小児科を受診してください。(けいれんがしっかりと止まっていることと、髄膜炎の病気を併発していないかを診察する必要があります。)


川崎病ってどんな病気ですか?

高熱が数日間続き、機嫌が悪くなります。目の充血、唇の発赤、全身の発疹、BCG接種部位の発赤、手足の先や首のリンパ節が腫れたりします。通常これらの症状が一度に出ることはなく、高熱が出て日を追うごとに現れてきます。川崎病の疑いが強くなれば入院治療が必要となります。治療が遅れると、ときに心臓に障害をきたすことがありますので、高熱が続き上記の症状が出てきた場合はすぐに受診しましょう。


1歳未満の子にインフルエンザワクチンは接種したほうがいいでしょうか?
インフルエンザワクチンは、生後6ヶ月から接種可能です。1歳未満のお子さんは有効な免疫が得られない場合もありますが、接種をすることで重症化を防ぐ事が出来るという報告もされています。インフルエンザ罹患の予防効果は50%以下といわれていますが、重症化予防の可能性を考えると接種されるのがよいのではないでしょうか。
なお微量ではありますが鶏卵由来成分が存在しますので、アレルギー症状を起こす可能性がごく稀にあります。卵を含む食品を食べてもアレルギー症状のないお子さんは接種可能ですが、卵を含む食品を食べたことのないお子さんについては、ご家族のアレルギー既往歴やお子さんの皮膚の状態によって血液検査を行う場合もあります。インフルエンザに罹った場合のリスクとワクチン接種に伴う副反応とのバランスを考慮し接種を判断します。
インフルエンザワクチンは1回0.25mlを2~4週の間隔で2回接種します。

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